酷い断水に苦しむマニラ。セブ島は大丈夫? -フィリピンの水道事情

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画像情報:Pixabay

断水!

という言葉は知っていましたが、昭和52年生まれの筆者は日本ではそれを体験した事がありません。

いや、マンションの貯水槽の点検などで、数時間断水した事はありました。
でも数日、あるいは数週間も続く断水というのは、物心ついた時から例がありません。

ところが、フィリピンは事情が違います。
発展途上国のフィリピンへ移住してから、断水・停電を頻繁に経験するようになりました。

そして今回、首都マニラで大規模な断水が発生、連日ニュース報道されています。

断水の原因は? 今後の見通しは? セブは大丈夫なの?

ーフィリピンに旅行や英語留学へ行く計画を立てている方は、そうした不安が渦巻いている事でしょう。

この記事では、フィリピン在住の著者DAIが、現地の状況と、旅行者への影響を考察し、お役立ち情報も交えてお伝えします。

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マニラで大規模な断水発生

2019年3月14日から、マニラ首都圏・リサール州等に水を供給しているマニラウォーター社は、渇水のため計画断水を始めました。

水が出る時間が1日わずか数時間に制限されてしまった結果、このニュース映像のように、マニラの人々が水を求めて給水車等へ長蛇の列を作っています。

ところでこの人たち、水を求めて何時間も並んでいるけど、仕事や学校やいろいろな用事はどうしているのかな?

と思いますね。
でも、それはとても日本人的な心配なのです。

もちろん、家族の中で分担を決めて、誰かが家族を代表して並んでいる場合もあるでしょう。

しかし、フィリピン人はもともと暇な人が多い…というと不謹慎ですが、失業者も多く、時間を持て余している人が多いのが実態です。

加えて、弱肉強食のフィリピン社会では、仕事などで給水車が来たタイミングにそこに並べない人に対して、救済措置は全く期待出来ません。

並んでなかったあなたが悪いんですよ、とばかりの対応。

ですから「水が出ない!」となると一大事、それはもちろん他の事を放っておいてでも、これだけ大勢の人々が一斉に水のために並ぶのです。

断水の状況

Twitterの投稿や、マニラに住んでいる知人の話によると、一日数時間だけ水が出る地域もあれば、5日間全く出ない、というような地域もあるとの事。

そしてこの状況は、雨季が来るまであと3か月続きそうだと言います。

この状況に、マニラ現地邦人のTwitterにも続々と悲鳴があがっています…

断水の原因

ありえないような長期間の断水ですが、その原因は一体、何なのでしょうか?

少ない降水量

画像情報:Pixabay

首都マニラの乾季である1月~4月の降水量は、平均たったの5~10ミリ/月程度。

これがどれくらい少ないかというと、東京の最も降水量が少なくなる冬場でも平均50ミリ/月は降っています。

マニラはその5~10分の1程度しかありません、つまりマニラの乾季は全くと言って良いほど雨が降らないのです。

エルニーニョ現象

上の動画で分かりやすく解説していますが、エルニーニョ現象が起きると、東南アジアでは雨が少なくなってしまいます。

今年初めから起きているエルニーニョの影響で、フィリピンだけでなくインドネシア等、東南アジア各地で水不足が発生!

これがマニラで雨が降らない原因として挙げられています。

日本への影響は?

ちなみにエルニーニョ現象が起きると日本ではどうなるのかというと、
冬は暖冬、夏は冷夏となる傾向があるそうです。
実際、2018~19年にかけての冬は平年より気温が高く、桜の開花も平年より3~5日早まりました。

2つしかないダム

ラメサダム(画像情報:WIKIMEDIA COMMONS

ところでマニラといえば、洪水のニュースを良く聞きませんか。

実際マニラの雨季のピークである8月の降水量は、1ヵ月で500ミリに迫り、これは東京のピークである9月の降水量200ミリの2.5倍!

とんでもない量の雨が一時に降るため、雨季のマニラはいつも洪水に苦しめられています。

それだけ雨が降るのに水不足とは、どういうことでしょうか?

そうです、マニラには水を貯める器がないのです。

東京と同じ一千万人の人口を抱えるフィリピンの首都マニラ、そこへ水を供給するダムはなんと、二つしかありません

ひとつはマニラ北方のブラカン州にあるアンガットダム。

このダムはマニラの西部に水を供給するマイニラッドという会社が管理しており、貯水量にまだ少し余裕があるとの事で、この会社の管轄地域はまだ断水していません。

そしてもう一つが今回ほぼ干上がってしまったというラメサダム。

このラメサダムはマニラの東部に水を供給する、マニラウォーターという会社が管理しており、同社の管轄地域は毎日数時間しか水が出ないという計画断水を実施しています。

ここでお気づきのように、なんと、水を管理する会社(民営)が別々で、水源も別々に持っているという意味不明な状況が断水を招いています。

日本に住まれている方には理解が難しいと思いますが、フィリピンという国は全てが個人プレー的で、このような公益性の高い事業でも、別々の会社がバラバラに運営しているのです!

そのため、マニラの中でも断水している地域とそうでない地域に分かれています。

東京の水源は?

ちなみに日本の首都圏の主な水源は、多摩川系と利根川系です。
ダムの数は多摩川系5つ、利根川系8つの計13!
マニラより乾季の降水量が多いにもかかわらず、これだけの数のダムを備えています。
日本の場合はダムを作りすぎと批判されますが、そのおかげで近年はどんなに干ばつが続いてもまず断水には至りません。
乾季の降水量が東京の10分の1しかないマニラでたった2つのダムでは、到底まかなえないのは明らかですね。

あちこちで水漏れ

これをみて下さい、ウチのすぐ前で撮った写真ですが…

フィリピンでは水道管をこのようなプラスチックのパイプで道に引き倒します。
人や自転車や車に轢かれるとどうなるでしょう?

簡単に割れてしまいますよね。
実際上の写真でも、ひび割れた水道のパイプから水が沁みだしているのが分かります。

このようにフィリピンではあちこちで水漏れが起きており、24時間漏れっぱなし。

私の知人の日本人も、家の水漏れのせいで、毎月水道代が4000ペソ(約8400円)もかかっており、しかもそれを修理せず何か月も放置していたというのです。

日本の感覚ではそのくらい、水をよく使う人なら普通だと思うかも知れませんが、こちらの水道代はとても安く、10~20㎥使う私の家で毎月200ペソ(420円)程度。

どういう計算になっているのか分かりませんが、普通の20倍も水が漏れている状況が何か月も続いてたというのは、なんと勿体ない事でしょう!

また大抵のトイレの水も、小の流すボタンがなく、大でも小でもジャージャー水を流します。
日本のような節水トイレなどなく、そもそも節水という概念がありません。

このようにフィリピン人は水がないのにその貴重な水を無駄にしています、とても残念ですね…

水の確保に苦労する人々

さあ、こうなると大変!
水が止まるのは電気が止まる以上に不便を招きます。

特に暑いフィリピンではシャワーを浴びなければ不潔になりますし、汗だくになった服の洗濯もしょっちゅうしなければいけません。

水がなければそれらが出来ない、トイレが流せない、食器が洗えない…

そのような状況が長続きすれば衛生状態が悪化し、感染症も拡がるでしょう。

レストランでは、飲み物の提供を中止するところも出てきたと言います。
そんな状況で一体どうやって営業するのでしょうか?

各地で給水車や消防車、プールなどに水を求めて群がる人々の様子が報道されています。

復旧はいつ?

そしてとんでもないことに、この状況は雨が降るまで解消する見通しがないのです。

乾季はまだ始まったばかり、まとまった雨がふるのは6月になってからでしょう。

ドゥテルテ大統領は、水を出せなくなったマニラウォーターの管轄地域を補うため、もう1社のマイニラッドにアンガットダムの水を回すよう命じました。

それに対しマイニラッドは「アンガットダムの貯水量も十分ではない」として放水に消極的な姿勢を示している模様。

水のない状況があと2~3か月も続くというマニラの人の不便は、想像を絶するものがあります。

さすがにこの状況に、マニラウォーターの社長は引責辞任を表明、また1週間以上断水が続いた地区では水道料金を請求しない事を発表。

とはいえ、社長が辞めても水のない状況に対し、何の解決にもなりません。

水が出なかった間の料金を請求しないのは当然、むしろ「料金はきちんと払うから水を出してくれ!」と言いたいでしょうね。

長期的な対策は?

そして乾季は毎年来ます、来年以降はどうなるのでしょう?

これに対しては政策があり、ラグナ湖(バイ湖)の水を引く方法と、カリワダムという新しいダムの建設を計画中。

しかし、カリワダムは中国の融資を受ける必要があり、その融資が実施されるか不透明で、完成はいつになるか分からないとの事。

ラグナ湖の水を引く事業に関しては、水道局は政府主導のカリワダム事業を推している為、消極的で、こちらも進んでいないようです。

どちらかの事業が完成するまで、数年に一度エルニーニョが来るたびに、このような調子で水パニックが起きてしまうでしょう。

日本でも断水

断水などないと思っていた日本国内ですが、実は最近、各地で断水が起きています。

千葉県旭市では、3月16日水道管が破裂し、市内の7割の1万5千世帯が断水。
老朽化した水道管の破損が原因のようで、18日の朝まで続きました。

また北海道の古平町でも3月19日、浄水場の施設が故障し、約1400世帯が5日間に渡って断水を経験しました。

ただしいずれのケースも、渇水が原因ではないため、マニラのような長期間の断水には至っていません。

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1977年(昭和52年)生まれの関西人。
フィリピン・セブの地を初めて踏んだのは2013年。
その後すぐ現地へ移住、一時日比を行ったり来たりの生活を経て、2017年3月にフィリピン人嫁と結婚し再びセブに定住。
セブ歴通算6年。
趣味は車・バイク・レース観戦
好きな食べ物はラーメン

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コメント

  1. 山田 より:

    私は4,5年前から5ガロンの重さの飲料水を買っていましたがSM等で売っている3層式のフィルターを通して飲料水や料理に使い問題は解決していました。
    ところが2,3カ月前からセブ水道局UCWDでは人口増加等に水不足で最低限の精製もままならず井戸水、地下水を供給しだしているそうです。今日も大型トラックが地下水を汲み上げた水を配給しにコンドミニアムを回っていますが十分な供給は期待できないどころか人糞、家畜に使う水も垂れ流しの地下水を汲み上げている事が分かりました。近隣のレストランも皿洗いまでも水売りの5ガロンのタンクを日に50ボトルは買って衛生に気を使っているようです。それだけ汚いです。
    さて、私が使っている3本の浄水処理機器も新品にしても全く効果ありません。浄水前と浄水後、口に含んだ際、片栗粉でも少々入れたような違和感があり不味いです。浄水しても変わりません。結局大変ですが5ガロンのボトルを水屋から買うことになりました。

    • DAI より:

      山田様。
      うわ~、それは酷いですね…
      街の水屋さんのボトルの水にしても、結局水道水をろ過しているので、元の水が汚すぎると、それも心配になってきますね。